2014/02/16

Xperiaカメラアプリ作成 その1

前回のエントリーで昨年は家電をたくさん買い換えたみたいな話をしましたが、最近ほぼ同時にテレビとHDDレコーダも壊れてしまい、引き続き今年も家電を買う流れは止まらないみたいです(笑。それにしても最近の家電はスゴイなぁと約10年振りにテレビを買い換えて改めて思いました。

さて超久し振りに技術ネタでも書いてみようと思います。Xperia Z1からカメラアプリにプラグインで外部アプリを追加できるような仕組みが提供されました。この機能は海外版のXperia ZやZ UltraにもAndroid4.3へのバージョンアップと共に提供されてます。今回はこのXperiaのカメラアプリ作成を取り上げたいと思います。

■開発環境のセットアップ
カメラアプリ作成用のSDKがCamera Add-on APIとして提供されてますので、これを使えるように開発環境をセットアップしましょう。

Android SDK Managerを立ち上げて、ToolsメニューからManage Add-on Sites...を選択し、User Defined Sitesに以下のURLを追加します。

http://dl-developer.sonymobile.com/sdk_manager/Sony-Add-on-SDK.xml

そうすると、Android 4.1.2用の追加パッケージとして、Sony Add-on SDKが選択できるようになっているはずなので、インストールします(下図は既にいろいろインストール済の状態ですが、最新のSony Add-on SDK2.1だけをインストールすれば問題ありません)。


Sony Add-on SDKをインストールすると、今回取り上げるカメラアプリ用以外にもスマートウォッチ用やSmall App用のSDKが提供されますので、これらに関してもいずれ取り上げたいと思います。

また、Camera Add-onに対応したアプリの作成に関しては、UIのガイドラインなども規定されており、こちら(リンク)からAdd-onの仕組みも含めかなりしっかりとしたドキュメントがダウンロードできますので、一読しておくことを強くお薦めいたします。英語ですが。。

■サンプルカメラアプリ
AndroidのSDKをインストールしたフォルダーを$ANDROID_SDK_HOMEだとすると、$ANDROID_SDK_HOME/add-ons/以下にadd-onとしてインストールしたパッケージがあり、Sony Add-on SDKもここにあります($ANDROID_SDK_HOME/add-ons/addon-sony_add-on_sdk_2_1-sony-16/)。

このフォルダーの中にCamera Add-onのサンプルアプリがありますので($ANDROID_SDK_HOME/add-ons/addon-sony_add-on_sdk_2_1-sony-16/samples/CameraAddon)、この中のMultiFunctionCameraAppSampleをEclipseにインポートしましょう。

MultiFunctionCameraApp.javaがアプリ本体で、CameraTask.javaはカメラのプレビューを表示するSurfaceViewを管理する為のSurfaceHolderです。

MultiFunctionCameraAppアクティビティーには3つのImageButtonがあり、ひとつはカメラのシャッターボタン(@+id/capture)、もうひとつは最新の写真/動画を表示する為のサムネイルボタン(@+id/thumnail_button)、そしてCamera Add-onアプリを選択する為のメニューを表示する為のモード選択ボタン(@+id/button)です。

このCamera Add-onアプリを選択する為のメニュー(下図)を制御する為のクラスがCapturingModeSelectorです。


これをアプリの中に組み入れればいいわけですね。

初期化のコードはアクティビティのOnResume()メソッド内になります。
try {
  Class.forName("com.sonymobile.camera.addon.capturingmode.CapturingModeSelector");

  // Create a parent view for the capturing mode selector view.
  ViewGroup modeSelectorContainer = (ViewGroup)findViewById(R.id.modeselector_container);

  // Create a CapturingModeSelector
  mCapturingModeSelector = new CapturingModeSelector(this, modeSelectorContainer);

  // Set two listeners on the CapturingModeSelector
  mCapturingModeSelector.setOnModeSelectListener(new MyOnModeSelectListener());
  mCapturingModeSelector.setOnModeFinishListener(new MyOnModeFinishListener());
} catch (ClassNotFoundException cnfe) {
   // If the camera add-on library is not found (Camera add-on API not supported),
   // implement suitable exception handling.
   Log.e(TAG, "Camera add-on library not found. Handle the exception, eg. finish the activity.");
   cnfe.printStackTrace();
   finish();
} catch(SecurityException se) {
   // If a SecurityException (Insufficient privileges) is caught,
   // implement suitable exception handling.
   Log.e(TAG, "Camera add-on permission not granted. Handle the exception.");
   se.printStackTrace();
   showPopupReinstall();
}
Camera Add-onのライブラリーが存在するかどうかを調べ、CapturingModeSelectorをインスタンス化して2つのリスナーを設定しています。また、Camera Add-onをアプリで使用するには、AndroidManifest.xmlファイルに以下のパーミッションを設定する必要があります。
<uses-permission android:name="com.sonymobile.permission.CAMERA_ADDON"/>
以下がCapturingModeSelectorクラスのパブリックメソッド一覧ですが、詳細はこちら(リンク)を参照してください。
voidopen(モード名)
CapturingModeSelectorを表示します
voidclose()
CapturingModeSelectorを閉じます
booleanisOpened()
CapturingModeSelectorを表示していたら真を返す
voidsetOnModeSelectListener(コールバック)
CapturingMode選択時のコールバック
voidsetOnModeFinishListener(コールバック)
CapturingMode選択時のコールバック
voidsetUiOrientation(int orientation)
画面のオリエンテーションを設定
voidrelease()
CapturingModeSelectorを破棄します

setOnModeSelectListener()とsetOnModeFinishListener()と2つコールバックの設定ができますが、これの使い分けはユーザが選択したモードが選択前と同じパッケージ名・アクティビティの場合にsetOnModeSelectListener()が呼ばれます。

つまり大雑把に言うと、自分のアプリに処理が戻って来る場合はsetOnModeSelectListener()が呼ばれ、違うアプリに遷移する場合には、setOnModeFinishListener()が呼ばれます。以下それぞれのコールバックの処理部です。

setOnModeSelectListener()
public void onModeSelect(String modeName) {
  mCapturingModeSelector.close();
  setViewsVisibility(View.VISIBLE);
  setThumbnail();
}
自分のアプリに戻るので、CapturingModeSelectorを閉じてViewの再設定をしています。

setOnModeFinishListener()
public void onModeFinish() {
  mCapturingModeSelector.close();
  finish();
}
他のアプリに遷移するので、CapturingModeSelectorを閉じて、アプリを終了しています。

で、ソースコードを見てみると基本的にCapturingModeSelector周りのコードはあまり弄る必要が無いことがわかります(モードボタン等の選択に応じたメニューの表示/非表示や画面のローテーションに応じた画面オリエンテーションの設定をしているだけ)。なので、Camera Add-onに対応したカメラアプリを作るには、このMultiFunctionCameraAppのソースコードを雛形に使えば良さそうです。

と言うわけで、次回以降このコードをベースにCamera Add-on対応アプリを何か作って行きたいと思います。

2013/12/24

スマホセントリックで生きましょ

どうもまたまたご無沙汰してますた。Rebootしたつもりがすっかり起動に失敗してたみたいです (^_^; ってか、仕事に慣れたら慣れたで色んな仕事をふられてしまいまして・・そこはそれブラック企業ですからw。

ってことで、来年こそは何かアウトプットを出さねばヤバイと思いながら今年を総括する的なエントリーをば。

まぁ、何と言っても自分の今年の一番大きな出来事は転職なわけですが、小さな出来事としては今年は例年になく家電を買い換えた1年でした。花粉症の時期も快適に過ごせるようにJetClean(あれ、AirEngineに名前変わってる?)を購入したのを皮切りに(いや、まぁ買ったのが微妙に遅くて効果をいまいち感じ取れなかったのが今では良い思い出ですけどw)、梅雨の衣類乾燥や夏場の除湿に大活躍してくれてた除湿機も古くて重くて部屋間の移動に難儀してたからカンキョーの最新型に買い替えました(いや、これ軽くてマジでお薦め)。

その後は家の電話を、スマホを子機に使えるPanasonicの電話機に買い換えました(いや、これスマホで(電話機を通して)通話が出来たり留守録が聞けたり便利は便利なのですが、微妙に残念だったというか今後に期待したいのは、FAX機能ですね。FAXをPDFに変換してスマホで見れたり、あと常時wifiにつながっているのが前提なのだとすれば、登録してあるメールアドレスに留守録を音声ファイルにして添付ファイルで転送してくれたりする機能があるとパーフェクトなのですがね)。

最後は最近俄然興味が出てきているハイレゾ音源を再生できるようにシステムステレオをHAP-S1に買い換えました。コストを抑える為かアンプは最新のデジタルアンプであるS-Master HXじゃなくて何とアナログアンプらしいのですが、自分的にはこれがむしろ良かったというか正解だったように思います。イメージだけかも知れないけど、何となく音が柔らかい気がするし、まだエージングが終わって無いスピーカーもこれからに期待感を抱かせてくれるに充分な鳴りがしてます。

個人的にはピアノの響きが好みだったのと管弦楽器が耳障りな音色じゃなかっただけで満足なのですが、基本的にはあっさりした味付けなので人によっては物足りないかも知れません。間違いなくハードロックやディスコミュージックを聴くよりは、Natalie ColeやNorah Johnesとかのしっとりとした女性ボーカルを聴く方に向いてる気がします(つまり自分好み)。

で、手持ちのCDをせっせとリッピングして聴いてますけど、ハイレゾじゃない音源でも高音質化するDSEEの効果がどれほどのものか気になる人もいることでしょう。自分的にはCD(44.1kHz/16bit)の音源はプラシーボくらいの違いしか感じませんでしたし、圧縮音源はDSEEで補正したところで、あまり満足できる音ではありませんでした(ってか、普段はスマホで圧縮音源を聴きまくっているのに勝手なもんですよねw)。DSEEの効果を感じるには上位機種のHAP-Z1ESか、もしかしたらヘッドフォンでじっくり聴いた方がいいのかも知れません。

そして、サンプルで幾つかハイレゾの音源が購入時から入っているのですが、これは流石に一段とレベルが違う音がします。音の広がりの違いが自分程度の耳でもはっきりと聴き取れます。これを体感してしまうともう全てハイレゾで楽曲を揃えたくなってしまいますが、それにはお金がかかってしゃーないですね(メーカーの思う壺なわけだw)。ただ、いまだとHAP-S1とスピーカーのセット購入でmoraで使える2万円分のクーポンがもらえるキャンペーンをやっているので、少しお得です。

あとこれ、スマホやタブレットで操作できるアプリが用意されているんですよね。この手の機器は楽曲が増えた時の操作性がいつも問題になると思うのですが、スマホやタブレットなら大量の楽曲の閲覧も容易だしプレイリストも含めて管理できます。それと、なかなかの優れものだと思うのが楽曲を解析して自動で分類する「おまかせチャンネル」という機能です。楽曲が増えるとプレイリストでの選択すら面倒に感じる自分には、その時の気分でチャンネルを選べば自動で選曲してくれるこの機能はぴったりです。

それにこのアプリ、UIがXperiaのWalkmanアプリと共通しているので、ユーザーの自分には買ったその日から何の違和感もなく使えました。人によってはこういう微妙な囲い込みが気になるのかも知れませんけどね。

とまぁ、ステマ全開?のエントリーですが、残念な部分が無いわけではありません。まず最初に気に入らないのは、インターネットラジオのvTunerには対応しているのに、radikoには対応してません。日本で聴くならradikoの方が使いでがあるような気がするんですけどね。それと自社サービスのMusic Unlimitedに対応していないのも最近One Sonyを標榜しているわりには何とも残念な感じがしてなりませんが、ファームアップデートでいずれ対応してくれるのではないかと密かに期待してます。

ダメ押しに、パソコン上の音楽ファイルを同期するアプリがあるのですが、これがフォルダーの作り方が微妙に自分の好みに合わないんですよね。。でも、ネットワーク上にドライブが見えるので、手動でコピーすれば無問題(それにこの仕様なら自分で同期アプリを作ることも可能だから致命的な問題では無いか?)。

それと散々スマホとタブレットのアプリを褒めたあとで何なんですが、やっぱりPCからも操作したいんですよね。その辺り、AIRアプリで作っておけばiOSやAndroidはもちろんのこと、WindowsやMacにも簡単に対応できるのだからメーカーの皆さんはもっと活用を考えるべきだと思うんですけどね?

で、ようやく締めに入るところから本題なのですが(相変わらず前置きが長い)、こういうスマホを軸にした機器連携が今後もっともっと進めばいいのになぁと思うわけです。お風呂が沸いたとか洗濯が終わったとかの単純な通知でもいいし、先のシステムステレオの例のようなUIを拡張するような使い方も便利だし、場合によってはスマホ経由でクラウドのリソースを使うとか、wifiでスマホとつながって協調動作することで以前では考えられなかったようなことが家電(と言うかリソースの限られてる組み込み機器)の世界で出来るようになりそうです。

例えばバルミューダの製品はデザインや機能が素晴らしいので基本的に好きなのですが、UniAutoというスマホとの連携機能を今後実現していくみたいなのでとても楽しみにしてますし(SDKが公開されたら更に面白そうですが)、家電のスマホ連携の流れに先鞭をつけたPanasonicにもすごく期待してます。

常に肌身離さず持っているスマホだからこそ、それをハブ(核)にして家の中の状態の把握や全ての機器をスマホで制御ができる時代が実はついそこまで来ているのかも知れませんね。実際、自分は今後もいろいろな家電を買うと思うのですが、スマホとの連携機能を持っているのかどうか?というのがひとつの重要な判断基準に今後はなるでしょう。

そういうスマホセントリックな生き方の実験を今後してみるのも面白いかも知れません。

2013/08/04

Reboot

大変ご無沙汰しておりました。Facebookの方ではご報告させていただいてたのですが、実は5月に転職をしまして、最初の2ヶ月は新しい職場でこれからやって行けるように、仕事に100%集中すると決めていたんです。

もちろん、土日にだけ個人ワークをするという選択肢もあったのですが、そうすると平日もついつい手を出しちゃって仕事への集中力を欠くだろうと思い自重してました。

7月に少し重い案件が入ってしまい、予定より1ヶ月多くかかってしまいましたが、新しい職場にも慣れ、仕事のペースもだいぶん掴めてきたので、そろそろ活動を再開しようと思います。

まぁ、まずは9/1に久し振りに開催される東京てら子Returnsに向けて何をやろうかなぁ?と漠然と考え始めてますが。。

ということで、各種勉強会への参加も再開しますので皆様よろしくです。

2013/03/23

最近読んだ本

前回(リンク)から半年ほど経ったので、ここらで最近読んだ本に関してまたまとめてみようと思います。今回は結構読み応えのある本が多かったので、数はちょっと少ないかな?

今回は読んだ順に掲載。

■2050年の世界
未来予測はいつの時代も難しいものだが、人口だけはかなり正確に推定できるらしい。それによると、日本のみならず中国も急速に高齢化が進んで2025年頃には経済成長が停滞し、人口配当を受けるインドネシアやインド、アフリカ、中東などが急成長する。当たり前のことだが、若い労働力が豊富な国が人口配当の恩恵を受けてこれから発展するということなんだね。

■WORK SHIFT
グローバル化とITの発展により、働き方が大きく変わるという話し。ただ、当然のことながら全ての職業がこのように働けるわけじゃないし、YahooのようなIT企業でも在宅勤務を禁止するというような話もあるね。ただ、例えばフリーランスの人などが自分の仕事の幅を広げるためには、参考になる話が沢山載ってると思います。

■MAKERS
この本を読めば、3Dプリンターを駆使して誰もが明日からでも製造業を始められるような錯覚に陥るけど、結局それで成功できるのは才能のある人だよね。才能のある人がビジネスをはじめるのに敷居が下がることは歓迎すべきことだけど、自分にもそれが出来るとうっかり勘違いしないように気をつけなくちゃ(笑。あと、クラウドファンディングに関しては、いまのレガシーな製造業のメーカーでも活用する事例がそのうち出てくるんではないだろうか?

■ウェブで政治を動かす
ソーシャルメディアがどこまで民意を反映しているのか?というのには若干の疑問がありつつも、政治活動の多くの部分でうまくITの技術を取り入れたら、かなり政治にかかるお金を減らすことはできそうだから、考えるべきだろうね。

■これだけ!PDCA
PDCAのサイクルがうまく回らない原因は、全てが計画のダメさにあるから。読みやすく分量も少なめなので、リーダー的な業務を行う全ての人にお薦めできる本。と言うか、読んでおいた方が良い。

■良い戦略、悪い戦略
「為せば成る、為さねば成らぬ何事も、成さぬは人の為さぬなりけり」のような精神論的なものは戦略でも何でもないですよ、ということを教えてくれる良書。まずは如何に現状分析をするか?全てはそこから始まる。

■夢をかなえるゾウ2
前作がかなり面白かったので期待してたのだけど、期待が大きすぎたのか平凡だったなぁ。。基本的に前作を読んでないとわからないネタも多いので、まず前作を読むのをお薦めします。何となくシリーズ化を狙っている伏線のようなものも感じたけど、これは前作で終わりで良かったと思うよ。

これからも趣味で読書は続けるつもりだけど、ちょっといろいろ事情があってこれからはあまり時間を取れそうに無いからペースはかなり落ちるだろうなぁ。。

2013/03/17

Hello, Ubuntu Touch

前回のエントリー(リンク)でiOSとAndroidに次ぐ第3極を担うモバイルOSとして、個人的にはUbuntu Touchに期待している旨をお伝えしました。Ubuntu Touchはまだ採用を表明している端末メーカーやキャリアが無く、そういう点ではFirefox OSやTizenからは出遅れている感は否めないですが、逆に完成度の高さはMWCでも評価されてました。

実は友人がNexus7にインストールしたものを私も触らさせていただきましたが、非常にスムーズには動くもののアプリなどの中身はまだほとんどがモックで、商品レベルまでにはまだまだ時間がかかる印象を受けました。

ただ、実機にアプリをインストールすることは可能そうで、Ubuntuからpreview版のSDKもリリースされてますので、今回ちょっとHello worldまで試してみました。

■VirtualBoxにUbuntu12.10をインストール
Macの環境を壊したくなかったので、USBメモリーからUbuntuを起動できるようにいろいろ試してみたのですが、どうしてもできなくて仕方なくVirtualBoxにインストールして実行できるようにしました。インストール方法はここのサイト(リンク)を参考にやりました。

■Ubuntu SDK previewのセットアップ
SDKのセットアップに関しては、公式のサイト(リンク)にやり方が載ってますので、これをそのまま実行すれば良いかと思います。

■サンプルアプリの作成
さていよいよ本題のアプリの作成ですが、これにはQt Creatorという統合開発環境(下図)を使います。ちなみに、Ubuntu SDKがいまはUbuntu用にしか公開されていないので、このような手順を踏んでますが、Qt Creator自体はMac OS X版も存在しますので、Mac用のUbuntu SDKが公開されれば、今回やったようなUbuntu環境のセットアップは不要になるものと思われます。


アプリ作成の手順も公式にあるドキュメント(リンク)を参考にしましたが、基本的にはQtアプリを作るのと相違無いようです。違いはQt用にUbuntu Touchのコンポーネント(Ubuntu.Components)と実機転送のプラグインが用意されているところだけ?なのでしょうかね。

試しに作成したUbuntu Touchアプリのソースコードは以下です。
import QtQuick 2.0
import Ubuntu.Components 0.1
 
MainView {
    objectName: "mainView"
    applicationName: "Hello World"
    id: root
 
    width: units.gu(60)
    height: units.gu(80)
 
    property real margins: units.gu(2)
    property real buttonWidth: units.gu(9)
 
    Label {
       id: title
       ItemStyle.class: "title"
       text: i18n.tr("Hello Ubuntu Touch")
       height: contentHeight + root.margins
       anchors {
           left: parent.left
           right: parent.right
           top: parent.top
           leftMargin: root.margins
           topMargin: root.margins / 2
       }
    }

    MouseArea {
       anchors.fill: parent
       onClicked: {
          Qt.quit();
       }
    }
}
Ubuntu Touchアプリは通常は上記のようなQMLという言語を用いて開発するようなのですが、他のQtアプリと同様にC++を用いて開発することもできるみたいです。QMLは見た通り、ビューとロジックをJavaScriptに似た記法で記述しますが、まだ馴染めなくてもう少し腰を据えていろいろ試す必要がありそうです。

で、実行すると下図のようなウィンドウが表示されました。まぁ、単なるHello worldアプリなので、面白くも何ともないですね。


■所感
歴史と実績のあるQtアプリの開発環境をベースにしているだけあって、特に大きな不具合に遭遇することも無くHello worldまで進めることが出来ました。QMLという言語はちょっと独特で学習コストが気になりますが、Qt自体はMac、Windowsアプリはもちろんのこと、iOSやAndroidアプリも開発できるマルチプラットフォームな開発環境なので、マスターすればもしかしたらいろいろなところで使いでがあるかも知れません。

個人的には、Ubuntu Touchは良くも悪くもUbuntuであるところに魅力を感じております。PC用のOSをモバイルに使うので、確かに消費電力は気になりますがスマートフォンやタブレットのハードウェアスペックもどんどんあがってますので、そのうち問題にならなくなることを期待してます。

あと、昔から外出している時は携帯の形で使えて、家に戻ったらディスプレイにつなげてPC的に使える携帯があればいいなと思っていたのですが、Ubuntu Touchだとまさにそのように使えるんですよね(下図)。


Androidでも確かにテレビなどの大画面なモニターにつないで使うことは可能なのですが、基本Androidなんですよね。PCの形態で使う時は、やはりLinuxの膨大な開発ツールを使いたいじゃないですか?まぁ、Ubuntu for Androidを使えばいいのかも知れませんが、そこは携帯とPCでシームレスに使えるUbuntuにアドバンテージがあるかな?と。

そんなわけで個人的にはUbuntu Touchに期待してますけど、iOSやAndroidの存在を脅かすのはUbuntu Touchでも、ましてやFirefox OSやTizenでも無く、きっとKindle何だろうと自分は思いますけどねw

2013/03/03

Hello, Firefox OS

先週までバルセロナでMWCが開催されてて、今年はiOSとAndroidに次ぐ第3極を担うモバイルOSとして、TizenやFirefox OSに大きく注目が集まりました(Windows Phoneェ...)。

個人的には、iOSやAndroidの牙城を崩すのはかなり厳しいように思い、これまであまり興味が沸かなかったのですが、いろいろニュースになっていることや、Firefoxにプラグインで簡単にFirefox OSのシミュレータをインストールして試せることがわかりましたので、ここのサイトを参考にちょっと試してみました。

アプリケーションを長い時間かけてビルドして作成する従来の方法とは違い、HTML5などのWeb技術でチャカチャカとソースコードを記述してすぐにアプリをデプロイできるこのお手軽さは結構アリでは無いか?と思いました。

そういう意味ではTizenとFirefox OSではHTML5アプリオンリーというFirefox OSの潔さにいまのところは好感を持っております。

Tizenでネイティブアプリをわざわざ作るくらいなら、自分はAndroidでいいですね。Tizenをそこまでして使うメリットを感じません。

ただ、HTML5アプリでは重い処理がおぼつかないというケースも考えられるので、いざとなればNaclでネイティブに処理を逃せるMobile Chrome OSが”もし”あれば、本当なら自分はそっちの方がいいかなぁ?とは思いました。普段のブラウザもChromeを使っているしね。

でもまぁ基本的にアプリロジックで重たい処理はクラウド上のサービスに逃がして何とかするってモデルなんだろうな、とは思います。

ってことで、Firefox OSは想像していたよりも使えそうな印象を受けたのは確かですが、ではAndroidから乗り換えてまで使いたいか?と言われると、そこまででも無いですね。

個人的にAndroidの自由(いい加減)なところとアプリ連携の仕組みはかなり気に入っていますし、何よりbackキーはやはり偉大な発明だったのではないかと思ってます。これがあるからなかなか他のプラットフォームに移るのは今後も難しいような気がしてます。いや、マジで。

それでも、何か他のOSに浮気をするとすれば自分はUbuntu Touchかなぁ?と思います。モバイル用のOSでアプリケーションを真のマルチタスクで動かせるのはいまのところUbuntu Touchだけですよね?だって、中身はUbuntuそのまんまでGUIがTouchデバイス対応にしたもののようなので(詳細をきちんと理解しているわけでは無いので、ウソ書いてるかも?)。

だからきっと電池の消費とかは激しいのでしょうけど、解像度が上がって画面の広くなってきてるタブレット端末なんかは電池容量にも余裕があるし、かなり相性がいいのでは無いかと想像してます。

Tizenはドコモが今年対応端末をリリースすると言ってますし、Firefox OSの端末はauが2014年にリリースを目指しているようなので、Ubuntu TouchやWindows Phone、Blackberryを含め、どのモバイルOSが今後第3極として台頭してくるのか楽しみですね。

2013/01/27

INFOBAR A02インプレッション

普段INFOBAR A01のユーザーなのですが、待望の後継機種であるINFOBAR A02が発表されました。早速、KDDIデザイニングスタジオに行って触ってきましたので、インプレッションを報告します。

■外観
各所でも報じられていますようにINFOBARでこれまで特徴的だった物理ボタンが廃止されてオンスクリーンキーになっており、前面がほぼディスプレイであることと、ベゼルが黒であることから、他のスマートフォンと一見して違いがわかりづらいものとなってしまいました。その為、INFOBAR A01のかわいらしさが無くなった一方で、少しクールな印象の男性向けのデザインとなりました。

これなら、INFOBARじゃなくても良いじゃないかという意見もあるようなのですが、自分は普段、Galaxy Nexusも併用しているので、物理ボタンが無いことにさほど抵抗がないことと、この大きさになると、そのバランスから物理ボタンを配するにしても相応の大きさになるであろうことを想像すると、まぁこれはこれでいいのでは無いかと思います。

だって、A01をただ大きくしただけのデザインだったら、それこそ興ざめじゃないですか?

自分が買うなら色はAOAOですね

■液晶
明るくて非常にキレイだと思いました。今年のひとつのトレンドに5inch FullHDってのがあると思うのですが、(実はこの後にXperia Zも見たのですが)自分の節穴の目には違いがあまり良くわかりませんでした。恐らく、並べて比較すればもう少し違いがわかるのでしょうが。。

個人的にはこのレベルであれば、高解像度であることによるバッテリーの消費電力と端末サイズの増大を天秤にかけても4.7inchのHDパネルも悪くない選択だと思います。

■カメラの画質
これは最近のHTC端末らしく、明るい広角のレンズとか、連射でシャッターを切る機能とか、使い勝手と画質はA01と比較して大きく進化してます。というか、A01のカメラはちょっとひど過ぎでしたよね。。

■音質
実は展示スペースにBeats Audio対応のヘッドホンとともに展示されていることを期待していたのですが、残念ながらそんなことは無かったので、音質は確認できませんでした。

■持ち心地
持った感じ、とても軽く感じました。A01と比較して背面の膨らみが無く、ストレートな形状なので、そこは少し持ちにくさを感じました。個人的には背面は適度な曲面を持ったものが好きなので好みの問題も大きいかと思います。

あと、同じようなサイズのGalaxy Nexusではあまり問題無かったので、ちょっと意外だったこととして、片手操作は少し難しいと感じました。

よくよく見ると、これは端末の角のデザインによるところが大きいと思われます。A02は角こそ丸まっているものの、直角的な形状をしています。Galaxy Nexusは角と底面がゆるやかな曲線を描いてますが、これにより、手のひらのより深くまで端末を握ることができ、親指を隅まで伸ばしやすくなるのです。

Nexus 4がGalaxy Nexusとほぼ同様の形状をしていることから、Googleはこれくらいの端末サイズになるとこの形状が有効だと考えているのでしょう。特許まで取っているのかどうかは知れませんけども :-P

AQUOS PHONE ZETAの特徴的な下部の形状もこのような効果を狙ったものだと思われますが、確信はありません。

Xperia Zを持った時にも同様に(端末サイズがA02より大きいから更に)片手操作は難しいと感じました。確かにスクエアでエッジの効いているデザインの方がクールな印象ですが、ここはデザインを優先するか、使い勝手を優先するか、難しいところだと思います。

そもそもこの大きさで片手操作できる人も限られるので、であれば、デザイン優先でもいいのかも知れません。

■iida UI 2.0
iida UI 2.0は1.0と比べて見た目ほど変わっていないとも、変わっているとも言えます。一番目に付く、スクロール時のゼリーのようなぷにぷにしたエフェクトは触ってて楽しいものですが、高速にスクロールして起動するアプリやコンテンツを探している場合には、確実に視認性が下がります。

まぁ、自分の端末なら、どこに何があるのかはおおよそわかっているはずなので、あまり問題にはならないのかも知れません。

パネルのエディットモードに入った時も、2.0ではゆるやかに画面の輝度が明暗するようなエフェクトになるのですが、これもテーマによってはわかりにくいです。1.0のように明確に画面のモードが変わってわかるようにするか、パネルの色を変えるとか、もうちょっとわかりやすいエフェクトの方が良かったと思います。

でも、これくらいのことは中のひと達でかなり議論していまの形になっているのでしょうから、素人には容易にはわからない何かしら深遠な理由があるのかも知れません。

一方で、サイズの変更などはタップだけで切り替えられるようになっているなど、使い勝手が進化している部分も当然あります。これにより画像のサイズ変更はかなりいい感じにできますが、どんな画像サイズでも思った挙動になるのかは、もうちょっと実験が必要かも知れません。

あと、ピンチ操作でパネルを追加するメニューを表示するのも操作としては、かなり違和感を感じるところなのですが、これはまぁ他にやりようが無かったのかも知れません。1.0との互換性を無視して、ホームキー長押しでも良かったような気もしますが。

今回、端末サイドのファンクションキーを押すと、ListViewと呼ばれる、階層化されてコンテンツに容易にアクセスできるTableView形式のメニューのようなものが用意されました。確かに便利そうではあるものの、個人的にはここの機能はデザインを含め、あまり練られていない印象を受けました。エフェクトもあまり必然性を感じないものです。

iida UI 3.0ではここの機能のブラッシュアップがかなりされるのではないかといまから予想してます。

いろいろ文句を書き並べてますけど、パネルの使い勝手は確実によくなってますし、1.0のユーザーはあまり違和感なく使えて良い仕上がりになっていると思います。特にともだちパネルは便利な機能だと思いました。

ただ、これは展示の仕方の問題なのですが、デモ端末にはある程度ダミーデータの登録をしておいてほしいものですね。twitterとかfacebookのデモ用アカウントも含め。でないと、せっかくの新機能を全部試せないので勿体無いです。

今回、音のデザインを小山田圭吾さんがされたということで、かなり期待していたのですが、音のコンテンツにアクセスするにはau IDの登録が必要とアラートがいちいち出て、非常に鬱陶しかったです。これ実機でもそう何でしょうね。。

あと、メモリーが1GBである点は、短い時間では問題を感じませんでしたが、将来的には不安を残していると思います。A01はバッテリー容量に不安がありましたから、二代続いて不安要素があるのは残念ですね。コストの問題もあるのでしょうが、ユーザーが安心して使えるものを作ってもらいたいです。

でも、個人的には、そんな細かいことを気にする以上にこの新しいINFOBAR A02を気に入ってしまいました。

特にINFOBARは、iida UIの美麗なHome画面からアプリを起動した際に、Androidのくそダサいアプリが表示されて、夢から一気に覚めたような感覚に襲われるのですが、ICSになって確実に改善されているのと、特に今回カレンダーアプリがデザインされたものに置き換わってたのは非常にうれしく思いました。

(おまけ)
同じ日に銀座のソニービルに行って、Xperia Tablet Zを見てきましたが、とにかく薄くて軽くて、かなり良い感じでした。150g軽くなるだけで、こんなにも印象が変わるのかと衝撃を受けたほどです。wifi版が出たら是非購入したいです。